<現象を理解しましょう>
マジックは現象が全てですから、そのマジックのどこが不思議なのかを十分理解する必要があります。その不思議さを理解すれば、客に対してどのように演じたらよいかが見えてきます。
<やっぱり練習が大事です>
マジックは練習が全てです。トリックがしめる部分が多いのも事実ですが、いかに簡単なマジックでも客とのやりとりを想定した十分な練習が必要です。学生時代にはよく「通し100回」といって、演技の最初から最後まで通した練習を100回やれと言われたものです。そうした通し練習を繰り返せば、よく失敗するポイントとか、効果的な見せ方が見えてきます。技法を含むものは、技法のみの練習も必要です。目をつむっていても出来るようになるまで練習しましょう。客と会話のやりとりがあるマジックは、当然声に出して練習しましょう。
まあ、社会人になって練習する時間も減りましたが、やっぱり最低10回は練習した方が良いでしょう。
<何度も人に見てもらいましょう>
練習は、人に見てもらうのがベストです。実演時の客の反応が得られますので、見せ方・話し方のタイミングをつかむことが出来ます。そして、色々と意見を言ってもらって自分の演技を改善していくことができます。
協力的でかつ何でも言ってくれる人を探す必要があります。(なかなかいませんけど)
やっぱりマジックの経験がある人の方が良いでしょうけど、そうでない場合は率直な感想をもらいましょう。
また、こういった人に見てもらう練習をしておくと、実演の際の緊張を和らげることが出来ます。
人に見てもらうことができない場合は、
鏡の前で練習する。(全身が写る大きな鏡がベスト)
もしくは、ビデオに取る。
という方法もあります。自分の演技が、実際客の目からはどのように見えるかを、自分が知ることによって、演技は改善されます。ビデオに撮ると、自分の知らない癖もわかったりします。(難しいテクニックを使うときは口があくとか・・)
<実演を何度も経験しましょう>
実演は練習をさらに上回る上達への道です。何度も人に見せることによって、どういったときに一番客の反応がいいかがわかってきます。話すマジックではせりふもこなれてきます。
<マジックをうまく見せるためのポイント>
1.失敗したときはどうするのか
どんなに練習しても、失敗するときはあります。予期しない失敗をすると非常に動揺し、めためたになってしまいます。
失敗を絶対にしないというくらいに練習するのは当然として、それでも失敗することを避けることは難しいものです。
そこで、次の格言を覚えておくとよいでしょう。
「何が起きるか前もって言わない。」
私がマジックをするとき、何が起きるかを前もって説明することはありません。その方が客の想像がかき立てられ、何が起きるかと期待します。そのような状況下では、客は何が起きているかわからないのです。つまり、失敗したとしても何を失敗したかわかりませんから、私は適当に誤魔化して次の(別の)マジックをすることにしています。客は何か違和感を感じたり、失敗したのかなと思うかもしれませんが、それでも構いません。また別の機会に演じればよいのです。決して、開き直って種を明かしたりしないようにしてください。客はつまらなく感じるだけです。
常日頃レパートリーを増やすことを心がけるとこういうときに助かります。
2.演じる場所・相手に応じた構成を考えましょう
マジックをいっぱい覚えたら、今度は構成を考えましょう。演技の時間を決めて、その間で起承転結を作っていきます。時間があまりない場合には、オープニングと、エンディングマジックだけでもよいです。客がマジックに集中していられる時間には限りがあります。(マジックを見るためだけに集まったステージなら別ですが。)宴会の合間にやるのであれば、長くても10分くらいでしょう。
演じる場所もよく考えてください。みんな酔っぱらっている席では、難解な(現象がわかりにくい)マジックをしても受けません。
3.マジックの3原則は守りましょう
ご存じのない方のためにサーストン(昔の偉大なマジシャン)の3原則をご参考まで。非常に有効な原則です。
◎絶対にタネを明かさない。
これは当然のことですし、観客を幻滅させるだけです。そうすれば時間をおいて、再び演じると不思議な体験を観客はまた楽しむことができます。観客がそのマジックを演じたいという意志が無く、ただタネを知りたいというだけならば、絶対に教えてはいけません。そもそも自分が考え出したマジックならともかく、ふつうのアマチュアマジシャンが演じるマジックは、人の作品であったり商品であったりする場合が多く、種明かしをする権利を持っていません。不用意にタネを明かすことは他のマジシャンの迷惑となり、マナー違反となります。
◎2度続けて演技をしない。
◎なにが起きるか前もって言わない。
この2つは、ほとんど同じことを言っていますが、2度続けて同じ観客に演じると、相手は何が起きるか前もってわかっていますから、タネがすぐばれてしまいます。
4.必ず複数のマジックを組み合わせる。
マジック用具を買ってくる、本で覚える、そうしてマジックのレパートリーは増えていきます。実際にそれらのマジックを演じる場合には必ず複数のマジックを演じた方が良いでしょう。当然演じる場所・相手に応じて構成を考える必要がありますが、あるマジックを単独で演じて、それで終わってしまった場合には、観客は「あれはどうなっているんだ」などとタネの想像・推理に入ってしまいます。まあそういうマジックもありますけど、拍手をもらったら、そこで目先を変えた現象の異なるマジックを続けると、観客が考える余裕を奪うことになり、後には不思議さだけが残るということになります。その方が、観客の印象もぐっと良くなる場合が多いです。
当然「やりすぎ」は禁物で、観客が宴会などでマジックに集中できる時間は5分から10分くらいですから、3つから4つのマジックが精一杯でしょう。(マジックの発表会は別ですけどね。)
その中で、簡単に構成を組むとすれば、
1.オープニングマジック
現象のはっきりしたもので、かつ最初の現象がすぐ起きるもの。長々と前置きや説明が長いと観客の興味がそれます。いわゆる「つかみ」というやつですね。
2.中盤のマジック
まあ、何をやってもいいと思います。エンディングマジックにつながるとなお良い。場合によっては無くても良い。
3.エンディングマジック(トリとも言います。)
ある程度、観客にマジックを見ようと言う気が起きています。多少手順が長くとも、構いませんが、結構現象が派手(もしくは超不思議)に起きて、かつ連続技で決めてくるようなマジックを持ってくると良いでしょう。
5.曲をバックに演技をする場合のポイント
あまり、そういう機会は少ないかもしれませんが、曲は演技の一部ですから十分に気を使った方がよいでしょう。フィギアスケートの演技を思い起こしてください。起承転結・緩急がついて曲と演技がぴったり合っています。プロマジシャンの演技も同様です。学生時代もさんざん曲を探したものですが、数百曲の中から、演じたいマジックと、自分の作り上げたいイメージにあった曲を選び出します。場合によっては曲をつないで作り上げます。いまはMDを使えば簡単に曲つなぎをすることができます。そして、曲に会わせて演技の構成を考え、修正していきます。(プロマジシャンは演技に合わせて作曲家に作曲させたりしますが。)
6.観客の言葉に対する「切り抜け方」(私の経験から)
「あー見えた」「別の手に持っているんじゃない。」と途中でちゃちゃが入る
別にタネのすべてが見えたわけでも、何でもなく、ある客がそう思っているだけです。観客全員にそのタネが解明できるはずもなく、気にせずマジックを続けて構いません。マジックの途中でちゃちゃを入れたがる人がいるとわかっている場合は、演技前に例えば「まだ不慣れな部分がありますので、最後まで演技を見守ってくださいね。」とか軽く釘をさしておくと良いでしょう。
「もう一回やって!」
手品の3原則の話をして、「また別の機会にお見せしましょう。」といって、決して2度続けて演じてはいけません。時間をおいてまたその観客が同じマジックを見たときに、もう一度感動・不思議さを味わうことができるからです。観客の楽しみを奪ってはいけません。
でも、私は、絶対にばれない、もしくは2度演じても問題の無いマジックの場合には、3原則の話をした後、「今日だけは特別に、あなたのために2度目を演じてご覧に入れましょう。ただしマジシャン仲間にばれると、マジック界から追放されるかもしれません。」といって演じたりします。
もう一つの方法としては、「分かりました。それではもっとおもしろいものをご覧に入れましょう。」といって他のマジックを演じるという手もあります。常にアンコール用に予備のマジックを用意しておいた方が良いでしょう。
マジックが終わった後で、「このマジックは、ここがこーなっているんじゃないの?」とタネの解説を始める。
その解説があっている場合も、あっていない場合も、「ご想像にお任せします。」といって、さらっと流す。
「お願いだからそのタネを教えて!」
手品の3原則の話をした上で、なぜタネを教えないのかを説明します。
「2つ大きい理由があります。あなたにまたこのマジックを楽しんでもらうためには、タネを知らない方が絶対に楽しめます。タネを明かした瞬間、非常につまらなくなってしまいます。本当ですよ。
また、私が単にタネを明かした場合、他のマジシャンが迷惑します。他のマジシャンが演じた場合に、あなたの不思議さ・おもしろさが失われていますので、マジシャンへの拍手に力がこもらなくなります。また、別の機会にお見せしますから、ネタばらしは勘弁してください。」
それでも食い下がる場合には、
「あなたがそのマジックを本当に身につけ、そして覚えて演じたいのであればお教えしましょう。そうではなくて、ただタネを知りたいだけでしたらお教えすることはできません。」と言います。別に観客をだまそうとか対決しようとかと思ってマジックをするわけではありません。あくまでも観客に楽しんでもらいたいためにタネを明かさないだけなのです。もしそのマジックを覚えたいと言うのであれば、別途時間をとって、お教えすると良いでしょう。飲み会の場では覚えたくてもすぐ忘れてしまいます。練習が必要なものははっきりとことわっておくことです。